



中国で一番の北京ダックの老舗「全聚徳」を日本の皆様にご紹介できることは
大変光栄に思うと同時に、責任も重く感じております。
「全聚徳」とは故周恩来元総理の言葉を借りれば、
"完全無欠、集まり散らず、仁徳至上"という意味になります。
これは「全聚徳」日本店の最大の目標でもあります。
145年余りの歴史があり、世界各国首脳、有名人もよく訪れる老舗として、
その料理の奥深さ、食文化の豊かさをいかに日本の皆様にお伝えしていくかは、
私たちにとって大きな試練であり、また楽しみでもあります。
「全聚徳」の食文化の中には
宮廷文化、貴族文化、庶民文化などが複雑に融合しております。
またその料理には当然そういった歴史の背景が反映されています。
日本の皆様に当店で本場の北京ダックをご賞味頂きながら、
中国の長い歴史の中で蓄積された食文化も感じて頂ければ幸いでございます。
『要術』に記されている「炙鴨」が中国におけるローストダックの先駆けです。『飲膳』に出てくるローストダックが現在の北京ダックの起源と言われています。
北京ダックはかつて明朝宮廷の高級料理で宮廷では「金陵ダック」と呼ばれていました。15世紀初期、明朝が都を北京に移すと同時に、ローストダックの調理技術も北京に伝わりました。北京ダックは皇帝や宮廷の人々に愛され、清の時代には宮廷料理としての地位をさらに高めました。
全聚徳は清朝同治三年(1864年)に楊全仁氏によって創業され、すでに140年の歳月が経ちました。楊氏は鶏やアヒルの肉を売って生計を立てていましたが、干し果物屋「徳聚全」が倒産したきっかけに、全財産を投じてその店を買い取りました。 その後、風水師のアドバイスに従い名前を「全聚徳」に改め、宮廷で炙り鴨を調理していた料理人孫氏を迎え、炙り炉による絶妙な美味しさの鴨料理を宮廷から民間へと伝えました。歴史の本によると全聚徳の北京ダックについて、「それを越える料理は無い。最高の北京ダックだ。」と記されています。